「人生100年時代」と言われるほど、平均寿命が伸び続けている現代。
美容医療の世界も、若さや健康を求めるニーズの高まりから、より幅広い年代が利用するようになるでしょう。
今回は、美容・医療ジャーナリストの海野由利子さんが、
未来の美容医療を担うドクターの一人である兵頭徹也院長に話を伺いました。
形成外科に進んだきっかけ
海野:兵頭先生は手術も照射治療も手がける『オールラウンダー』ですね。形成外科医を目指された経緯はあるのでしょうか?
兵頭:はい。医師免許取得後、2年間の研修を臨床現場で実践的な勉強をしたいと考えて、沖縄の総合病院に行きました。内科、外科、麻酔科、小児科、精神科などで基本的なことはひと通り学び、その中で、特に外科が面白いなと感じました。
きっかけは私の傷の縫合(縫い方)が細やかで丁寧過ぎると指摘され、そこで自分は細かい作業が求められる外科が向いていると気づきました。その外科の中でも、全身を診たいと思い、形成外科を選択しました。
海野:臨床経験はご自身の「特性」や「向き不向き」に気づく期間でもあるんですね。その後、東京の大学病院に移られましたが。
兵頭:形成外科の経験を積みたいと考え、当時の沖縄では大きな形成外科がなかったので北里大学形成外科の医局に入りました。
海野:北里大学は美容外科の設立も早かったですね。
兵頭:ええ。形成外科の一分野として美容外科がありました。形成外科はケガや熱傷(やけど)の治療も担当しますし、救急センターに所属していた時期には重篤な救急患者の緊急手術も行いました。
海野:早く正確な判断が必要な現場ですね。形成外科は傷跡が残らない自然な見た目の治療を重視するので、そういう経験は美容医療でも重要ですね。
兵頭:はい。美容分野でも解剖の知識と経験があることが大前提です。血管や神経の位置なども皆違うので、見た目だけでは予測しきれないです。
得意な治療
海野:美容医療は繊細な治療が要求されますが、兵頭先生の得意な治療を教えてください。
兵頭:力を入れているのは『たるみ治療』です。
主にはヒアルロン酸注入などの注入療法、メスを使わないショッピングリフト、メスを使うフェイスリフト手術、そしてウルトラセルQプラスなどのハイフ(HIFU)照射です。
たるみは治療法が多く、それらを組み合わせた多彩なメニューが自由が丘クリニックにはあるので、症状やご希望に合わせた提案もしやすいですね。
海野:今はネットで治療法を調べて「これを」とリクエストする方も多いのでは?
兵頭:そうですね。ご希望は尊重しつつ、たるみに関しては原因が複数あるので診断を丁寧に行います。加えるほうがいい治療もあったり、たるみ治療の前に毛穴治療をして引き締めておくとか、エステで肌の調子を整えてから照射治療をするとか、幅広い提案ができます。
海野:その人に合った提案をするためには、丁寧な診察とカウンセリングが必要ですよね。
兵頭:そう心がけています。優れた治療法でもエイジングを止めることはできないので、一度の治療で悩みが一生解決するわけではないです。痛みや費用も含めて、挫折せず続けていける治療法を考えてご提案しています。
海野:幅広い世代が利用するようになった美容医療のこれからについてどうお考えですか?
兵頭:自由が丘クリニックが現在行っているのは、見た目の美しさ、心身のアンチエイジング、そして健康寿命を伸ばすということです。
人生100年時代を迎えて大切なのは健康です。エイジングや病気に対する予防的なアプローチや治療は、年齢に関係なく提案できると考えています。
形成外科分野では、再生医療の研究を深めて実践をして、たとえば手術の傷を目立たないように、手術痕のリカバリーとか、きれいに治すことを進めていきたいと思っています。
再生医療の研究は北里大学で続けていまして、治療として始まっているものもあります。
海野:新しい治療法が増えていく時代ですね。そこに兵頭先生が関わっておられるとのことで、ますます楽しみです。
兵頭:5年、10年後の変化を見据えて、状態や年齢に応じた治療のアドバイスもできるようにこれからも心がけていきます。